ゴー!ゴー!ワクワクキャンプ その2

ゴーワクのキャンプに参加して
2014年の支援先のゴー!ゴー!ワクワクキャンプ(略して「ゴーワク」)。
どのような「キャンプのしているのか見たい!」と、
7月の下旬に調理班として3日間、参加して来ました。

子どもたちの日々の様子や、食事などはゴーワクのブログをご覧下さい。
毎日の食事や、イベントなど日々の様子がいきいきとつづられています。
ゴー!ゴー!ワクワクキャンプ ブログ → 

また2014年のキャンプの様子は、
はじまりの日実行委員の蔦谷朋美さんがレポートしています。
合わせててご覧下さい。 → 


ゴーワクの食事が出来るまで
食事班ととして参加するので、
「料理」という仕事をしに行くつもりで参加をしましたが、
もしかしたら子どもたちとすこし遊んだり、参加しているお母さんと
お話もできるのかなとも思いましたが、実際は、そんな余裕はまったくありませんでした。

普通の主婦が作る、10倍近くの量を調理するのです。
しかも台所の広さは、普通のキッチン+2口の業務用コンロ。
あるのは吟味された、とびっきりの旬の食材や調味料、そしてマンパワーだけです。
まさに料理漬けの3日間でした。

じつは私たちが作った料理は、ゴーワクのの食事としては、氷山の一角のようなもの。
この料理が出来るまでに料理よりももっと多くの時間が費やされているのです。


食欲がすすむ、ピクルス

子どもたちの保護者からアレルギーのある食べ物は事前に知らされています。
それを配慮した、40日分の大まかな献立を考えなければなりません。
主婦にとっても、その日の献立を考えるのさえ億劫なのに、
いつ、だれが、何人参加して、その子どもはアレルギーがあるのか、
それはどんな食材なのか・・・
すべてを考え、子どもたちが飽きないようにメニューを決めていく・・・
そして食材を吟味し、発注や調達の手配する。
しかしそれだけではなく、突然ご近所さんからのご好意で食材をいただくこともあり、
それらを無駄にせず大事に使い切る。そんな臨機応変な力も求められます。
一回の食事は、それらのことが丁寧に誠実に行われたうえで、作られています。


食材を切る量も普通の家庭の10倍

「どうしてここまで出来るんだろう?」正直な疑問でした。

キャンプから帰宅後、ゴーワクキャンプの報告書
「ゴーワクのちから」を2011年〜2014年をすべて読んでみました。

なかなか一言や一行では表されるものではないと思いますが、
今でも「放射能の不安にさらされている人々がいる」
この事実に対して、真摯に誠実に向き合うことが、形に現れているのが
「ゴーワク」なんだと、私は感じました。


キャンプ中に誕生日を迎える子どもには
手作りのケーキが振る舞われる。


重ねられた時間に支えられて
それは子どもの見守りも同じで、
子ども見守りのスタッフが、子どもと一緒に遊んだり、
ふざけたり、楽しんだりと
一見、田舎に遊びに来て親戚のお兄ちゃん、お姉ちゃんと
遊んでるといった様子に見えます。

しかし実際は、毎日毎夜、子どもが寝静まってから、2部に分けて、
ミーティングを行い、子どもたちのその日の様子や、
変わったことがないかを報告。何かあれば
「○○ちゃんと○○ちゃんがこういうことが原因でケンカをしていた」
「背景としてこういうことがあった」「対応はこうしよう」など、
みんなで子どもたちの情報を共有してどのように接するかを
話し合って決めていきます。時には話し合いが深夜に及ぶことも・・・

子どもたちは毎日、のびのびと
「田舎の親戚の家に来たような感じ」で過ごしています。
あたりまえの、おだやかな時間。
そのあたりまえの時間は、子どもたちを見守り、
丁寧な対応を重ねたスタッッフの支えがあって
過ごせているのだと強く感じました。


近くの川では沢ガニが取れる



ゴーワクの選んだこと
4年経って、震災や原発事故に対しては意見さまざまです。
その意見のはざまに、どちらでもない、
どちらか決められない、という人たちも多くいます。
決められないゆえに、不安が深まる人もいるでしょう。
そういう不安定な人々に何かの決断を迫ることもなく、
「ありのままを受け入れて、ずっと寄り添う」

しかしこれは、期限はないうえに、支援する側の体力も精神力も要求されます。
継続するのには、資金などの経済的なことも解決しなければればなりません。
でも、ゴーワクはこの一番難しいことを選んで、やろうとしているんだなと私は感じました。


はじまりの日として
「はじまりの日」の目的は支援金を集めることのほかにもう一つ、
「震災を思い出して、考えるきっかけになれば」、という強い思があります。

阪神淡路大震災から20年、東日本大震災から4年半。
南海トラフ地震も予想されています。

防災から自分のまわりの住環境や都市整備を考えてみたり
原発からエネルギー問題や経済を考えたり、
原発や災害を不安に思う自分を、客観的に見つめ直してみたりと
文字にすると自分に関係ない難しい話という感じですが
考えない日常の積み重ねが、
回り回って自分の身にふりかかってくるのではないでしょうか。

震災以降、折りに触れてハンナ・アーレントという人のこの言葉をよく思い返します。
「悪は悪人が作り出すものではなく、思考停止の凡人がつくる」

来年、再来年、その先の秋になって
「そういえば今ごろ『はじまりの日』があったな」と思い出したら、
このブログやゴーワクのブログを、ぜひ開いて見て下さい。

そしてもう一度、あの東日本大震災を思い出す、
そして考えるきっかけとなったら、幸いです。


はじまりの日実行委員 上山智春